ジュンク堂書店大分店さんが来月いっぱいで閉店する。
カモシカ書店は新刊も扱っているから、これはビジネスチャンスだ、などという次元の話ではない。
人口47万都市の大分市の中心地から大型書店がなくなる。本屋という存在が、それなりの規模の街の大分市でさえ、当たり前の光景ではなくなっていくのが、ここから急速に加速するだろう。
個人書店、古書店というのはいわばゲリラである。ビルを一棟使うような大型店が正規軍として存在しているからこそ、ゲリラにはゲリラの戦い方がある。
ジュンクがなくなると思うと、ぽっかりと、基準を失ってしまうような虚脱感がある。
文字や絵によるコンテンツは世の中にゴマンとある。読書という行為も本だろうがスマホだろうが、人々の生活にあり続ける。本屋がなくても、面白いコンテンツや読者は確実に存在する。
じゃあもう本屋はいらないのか? それを判断するのはマーケットである。
僕にできることは、しなければならないのは、「肉体としての本」の力を知ってもらうことだ。
今回はアンティークの本を離れて、わりと最近の豆本をご紹介。
ミニチュアの本というのは世界中にある。それでも雛人形を見るとわかるがミニチュアは日本人の得意とするところで、作り込みには息を呑む。むしろ、小さいからこそ普通のサイズの本ではしないような細工や手間を、わざわざかけてみたくなるのだろう。
全て、豆本といえども作品の全文が読める。
こちら2冊は木版画で印刷されている。
『おもちゃえばなし』
『文物宛字絵本』限定300部
こちらは、見返しマーブル装。といって、西洋の本の装丁技法。一枚ずつインクに浮かべて印刷するので手間がかかる。ドロップスを入れるような缶に入れて保管する。
『火垂るの墓』 限定300部 署名入
野坂昭如 未来工房
1981年5月20日 豆本初版
こちらは革張り装丁、天金仕様。そして函は小さなお家のようである。なんと小窓もスライドできるこだわりっぷり。
お次はなんと施錠、開錠できる。主人公クミ子の心だろうか。
『ジョゼと虎と魚たち』限定250部 毛筆署名落款入
田辺聖子 未来工房
1991年 豆本初版
こちらも凝った入れ物。
『鬼の詩』 限定250部 毛筆署名落款入
藤本義一 未来工房
1990年 豆本初版
そしてこちらは、コーネル革装。といって本の角を革で補強する仕様。西洋の高級な本にだけ施される装丁をこの小さな本にも施すとは。
印刷の一字一字、紙や革の裁断、綴じ糸、すべての工程に愛おしさを感じる。
ぜひ手にとってご覧いただきたい。
全て販売可能ですので気になるものがあったらお問い合わせください。
□used
☑︎old
□rare